徹底解説!覚えておくべきマンションの外壁塗装について

この記事の監修者

佐伯 明彦 (株式会社ソラ SOLA)

所有資格外壁診断士

外壁施工において構造性能や耐火耐久性能など外壁塗装をお考えの方に対して アドバイスをおこなっております。


鉄筋コンクリートで丈夫に作られているマンションでも、約10~15年のサイクルで、外壁表面の汚れや防水性の低下など経年劣化によるダメージが発生してきます。

一般的に、マンションの外壁塗装は、【大規模修繕工事】の中で行われます。

大規模修繕工事とは、マンションの経年劣化にあわせて計画的にまとまって実施する修繕工事のことを言います。

分譲マンションでは、建物や設備の老朽化、それに伴う重大な不具合を防ぐために、管理組合が主体となり計画修繕を行います。

大規模修繕工事は、とにかく居住者の合意を得なければならないので、優れたコンサルタントや塗装業者を選んで、安全を重視しながら計画的に進行しなければなりません。

この記事では、マンションの外壁塗装について、大規模修繕工事のポイントを徹底的に解説していきますので最後までチェックしてみてください。

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マンションが外壁塗装をすべき理由

マンションの大規模修繕工事の内容の約8割以上が外壁塗装をしていると言われています。

なぜ、ほとんどのマンションの大規模修繕工事は、外壁塗装なのでしょうか?

その理由は大きく2つあります。
それは外壁塗装に【美観の回復】と【耐久性の向上】の効果があるからです。

建物の資産価値を下げないように

外壁塗装をするのは何のため?という質問に対して多くの人は、カラーチェンジと答えるのではないでしょうか。

マンションやアパートの外装を新しい塗料で美しく塗り替えると、美観を維持することができ、見た人の印象も良くなります。

見た目が良くなると、マンションの資産価値もおのずと上がり、入居促進に繋がります。

あと外壁の汚れを落とす効果があります。
外壁塗装には、外壁や屋根の汚れを落とすために【高圧洗浄】が不可欠です。

高圧洗浄機で、泥や排気ガス、コケやカビや剥がれかけの塗膜などを落とすと外壁塗装の効果が高まるという効果があります。

しっかりと洗浄を行い新しい塗料で塗り替えを行うことで、色褪せた印象から色つやも発色もよい美しい印象を与えることができ、入居促進に繋げることができます。

建物の耐久性を高める

外壁塗装の目的は、見た目をよくするだけと思っている方も多いのではないでしょうか。

外壁塗装は、外壁を守る機能を回復するという目的があるのです。

●新しい塗料で外壁の保護機能を上げる

塗料は、美しい色のほかに、外壁の保護機能も併せて持っています。

主な保護機能は、
・耐候性…紫外線や雨による建物本体へのダメージを抑える
・防汚性…汚れを付きにくくする
・防水性…外壁下地への浸水を防ぐ
・遮熱性…太陽熱を跳ね返し、室内の温度上昇を抑える
・断熱性…室内の暖かい空気が逃げるのを抑える

などがあります。

マンションの大規模修繕工事は、約12年に1度を目安として行うことを推奨しています。

●外壁の防水性を高める

マンションの外壁材は、一般的にALC(軽量気泡コンクリート)パネルの上に、吹付けタイル仕上げで施工します。

吹付けタイル仕上げとは、タイル風に塗料を吹き付けて作る外壁のことです。

吹付けタイル仕上げの外壁は、塗料にひび割れが起きて、そこから浸水する可能性があるために、約10年に1度のひび割れ補修や再塗装が必要です。

3~5階建ての高さのないマンションの場合は、外壁に本物のタイルが使用されていることがあります。

タイル材は、劣化すると浮いてきたり剥がれが発生したり、防水性が低下してしまいますので、タイル材の張り替えや浮きの補修が必要になります。

大規模修繕工事に含まれるマンションの外壁塗装

マンションの外壁塗装は、【大規模修繕工事】の工程の1つとして行われます。

1回あたりの修繕費用が、数百万~数千万、タワーマンションであれば数億円にもなる大規模修繕工事をするためには、専門委員会の設置や区分所有者への説明会を行わなければなりません。

改修工事を任せる業者や、大規模修繕工事をサポートしてくれる専門家の選定が重要になってきます。

大規模修繕工事の専門委員会を作る

マンションの外壁塗装は、3階建てのような低層マンションであれば、半年くらいで終わることがあるのですが、5階建て以上の中規模以上のマンションになると、長期間の工事になります。

通常業務もあるマンションの管理組合だけでは、この期間に塗装業者選びや業者との打ち合わせに常に時間を割くことは難しいです。

さらに、大規模修繕工事の途中で役員が任期を迎えてしまう可能性があるので、適切な大規模修繕計画を立てるためにも、居住者で修繕委員会を構成します。

余裕がある場合は、管理組合のみでの運営も不可能ではありませんが、業者選びや見積もり比較がおろそかになる可能性があり、適切な価格で工事をすることができない恐れがあります。

●修繕委員会の募集方法

修繕委員会のメンバーは、建築や塗装の有資格者や実務経験者を1人は選んでおきましょう。

そういう人を1人メンバーに入れておくことで、施工業者の選定や業者との打ち合わせを、円滑に進めることができるようになります。

また、居住者全員の意見を大規模修繕工事に反映させるため、メンバーを老若男女とバラつかせて、意見が偏らないようにすることも大切です。

施工業者の選び方

大規模修繕工事の業者の選び方は、2つの方式があります。

●責任施工方式
責任施工方式とは、工事の設計から施工までを、1つの施工業者に一貫して依頼することです。

責任施工方式では、業者選びが大規模修繕工事のすべてを握っていると言っても過言ではありません。

作業内容が様々な大規模修繕工事では、外壁塗装だけの打ち合わせをするだけではありません。
あらゆる工程の打ち合わせも行わなければなりません。

それゆえ、外壁塗装やリフォームの専門知識がない管理組合だけでは、業者からの提案の良し悪しを判断することができず、打ち合わせがスムーズに進まない恐れがあります。

●設計監理方式
設計監理方式とは、建築士やマンション管理士などのコンサルタントに、大規模修繕工事について相談しながら進める発注方式です。

施工は別の業者や塗装会社が行いますが、その施工の管理もコンサルタントが入るため、手抜き工事を防止しやすく、安全かつスムーズに外壁塗装と大規模修繕工事を進めることができます。

ですが、コンサタントと施工業者が癒着していた場合、管理組合がわからないようにマージンを引き上げられていたり、不必要な工事を行われていたり、手抜き工事をされていたりというケースもないとは言い切れません。

そのため、設計監理方式は、最初のコンサルタント選びがかなり重要になります。

コンサルタントにも得意な分野や不得意な分野がある、経験が浅いなど特徴は様々です。
過去の実績から、外壁塗装・大規模修繕工事を行う建物にぴったりなコンサルタントを選びましょう。

マンションの外壁塗装の流れ

施工業者が決定し、大規模修繕工事の実施が管理組合の理事会で承認されると、外壁塗装に入ります。

マンションの外壁塗装で欠かすことができないのは、居住者の協力です。

塗装や養生中にベランダが使用できない、業者の出入りがあるなどや、各工事での作業内容や注意点は、しっかりと伝えましょう。

1.住民説明会を開催

大規模修繕工事では、着工前に施工業者によって説明会が開催されます。

工事期間や内容を説明するのはもちろん、ベランダや駐車場など工事期間に使用できない場所があることや、騒音についての説明をきちんとしましょう。

緊急連絡先も用意しておくと、工事中にトラブルが発生したときも対応がスムーズです。

2.足場の設置

3~5階建てのマンションでは、戸建て住宅と同様に枠組み足場を設置します。

高層マンションや、建物の周りに足場を設置できない場合は、無足場工法で施工します。

●無足場工法とは
無足場工法とは、鋼材の枠組み足場を設置せずに行う工法のことです。

ロープやブランコを装着して、屋上から命綱で吊り下げられた作業員が作業をする場合もあれば、屋上からゴンドラを吊り下げて作業員がその中で作業を行うこともあります。

3.下地補修作業

塗装に入る前に、塗装の剥がれ、浮きが発生しているタイルの補修、目地部分のシーリング工事といった下地補修工事を行います。

●タイルの補修方法
欠けたり剥がれたりしているタイルを放置していると、落下して人や車に当たってしまう可能性があるので、外壁塗装時にしっかりと補修をしておかなければなりません。

欠けたり剥がれたりしているタイルは、電動工具を使用して剥がし、新しいタイルを貼ります。

貼り換え時に、古いタイルと新しいタイルの色味が変わってしまわないように、新しいタイルに焼き付け処理を行って、色味を調整する作業を行います。

下地から浮いていて、タイル自体には劣化が見られない場合は、継ぎ目に細い穴を電動工具で開けてエポキシ樹脂を穴に注入して接着させることができます。

タイルの浮きがコンクリート下地の劣化で起きているときは、一度タイルを剥がして、コンクリート下地の目粗しをしたうえで、貼り直します。

●シーリングの打ち替え
シーリング材とは、コンクリート同志の継ぎ目や、サッシとの境目に充填されている部材のことです。

紫外線や雨水でシーリングが、裂けたり痩せてしまうという劣化が生じて、建物の気密性が下がってしまうので、シーリングの補修は重要です。

シーリングの補修では、古くなったシーリング材を取り除いて、新しいシーリング材に変える【打ち替え】とシーリングの状態がそこまで劣化していない場合は、古いシーリング材の上から新しいシーリング材を補填する【打ち増し】という2つの方法があります。

打ち増しの方が打ち替えよりも費用を抑えることが可能ですが、何度も点検が行えないマンションでは、工事をするとなれば打ち替えでしっかりと補修すべきです。

養生と高圧洗浄

養生と高圧洗浄も、外壁塗装工事には必須の作業です。

●養生作業
塗料が周りに飛び散らないように、塗装箇所の周りや、駐車場の車や植木などをテープやビニールなどで養生して覆います。

養生期間中は、ベランダやエアコンの室外機も、ビニールで覆われることになります。

そのため、ベランダに置いてある私物は、居住者に移してもらわなければなりません。
例えば、干してある洗濯物も部屋の中へ移動してもらわないといけない場合があります。

工事期間を事前に説明しておくことはもちろん、工事スケジュールが遅れた場合は、迅速に連絡するなど住民への配慮が大切です。

●高圧洗浄作業
塗装前、外壁の周囲の汚れを洗浄することは、新しい塗料が外壁に密着しやすくなる効果があります。

通常、外壁の洗浄は高圧洗浄機の水で汚れを落とすのですが、汚れがそこまでひどくない箇所、繊細な作業が必要な箇所は慎重に手作業で汚れを落とさなければなりません。

タイル外壁の場合は、高圧洗浄機の水圧でタイルが壊れてしまう可能性があるため、薬剤で表面の洗浄をする場合があります。

●塗装作業
塗装作業は、下塗り・中塗り・上塗りの計3回の3度塗りが基本ですので、塗装作業は1日では終わりません。

養生後も、約5日~1週間ほど、換気が行えないのでベランダが使用できない状態が続きニオイも発生します。
そのため居住者にしっかりと説明をして理解をしてもらう必要があります。

●居住者へのニオイ対策は徹底かつ慎重に
外壁塗装で最も居住者に対して配慮しなくてはならないのが、ニオイです。

ニオイの原因は、塗料を薄めるときに使用するシンナーですが、最近は強烈なニオイのシンナーではなく、水で薄める水性塗料の開発・使用も増えてきています。

そのため、塗装作業中にニオイも抑えることができ、居住者にも安心して生活してもらうことが可能です。

水性塗料も完全に無臭というわけではないので、少なからずニオイがするということは把握し、居住者にも伝えておきましょう。

●鉄部の塗装
ベランダや手すり、エントランスや各部屋の玄関扉など鉄部防サビ塗装も、外壁塗装、屋上やベランダの防水と同様、重要な作業となります。

鉄部の塗装に使用される塗料は、薄め剤にシンナーを使うことが一般的です。
そのため外壁塗装以上に、居住者への理解が求められます。

サビの進行はひどいと、サビを落とす作業(ケレン作業)の手間がかかるので、費用もかかってきますので、サビでの腐食が進む前に大規模修繕工事で鉄部の塗装を済ませることをおすすめします。

防水工事

屋上・ベランダやバルコニーの防水工事は、ほとんどの大規模修繕工事で行われる重要な工程です。

屋上とベランダでは、工程や工法が違います。

●屋上の防水工事
屋上の防水工事は、4つの方法があります。

【FRP防水】【ウレタン防水】【シート防水】【アスファルト防水】

のいずれかの工法で行います。

鉄筋コンクリート造のマンションでは基本的に、厚く丈夫な防水層がつくられるアスファルト防水が選ばれることが多いです。

●ベランダの防水工事
作業範囲が限られているベランダでは、作業性が高いFRP防水やウレタン防水による施工が基本的です。

FRP防水とは、下塗り塗料の上に、ガラス繊維シートを継ぎ目が出ないように重ね、そこにさらに塗料を塗り重ねて行う防水工法です。

ウレタン防水は、シートと塗料を組み合わせて防水層を作る「通気緩衝工法」と、塗料のみで防水層を作る「密着工法」の2つです。

ベランダに床置きの室外機が設置されているマンションでは、室外機を架台仮上げ、または一時撤去をする必要があるので、居住者に説明しておきましょう。

まとめ:居住者への理解を大切にしながら進めよう

マンションにおける大規模修繕工事は、美観や耐久性を保持する以外にも、入居希望者への大きなアプローチになります。
それだけでなく、現在お住まいになられている居住者の方々に、住みよい環境を提供することが可能です。

けれど、大規模修繕工事は、劣化の補修箇所によっては、居住者へ理解を求めなければならないことがあります。

大規模修繕工事という節目で行われるマンションの外壁塗装。
居住者の方々から理解をしていただきながらスムーズに進めるためにも、各工程の意味や目的を把握しておきましょう。

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