外壁塗装の剥離剤の必要性と注意点、DIYで使うのは避けたほうがいい?

この記事の監修者

佐伯 明彦 (株式会社ソラ SOLA)

所有資格外壁診断士

外壁施工において構造性能や耐火耐久性能など外壁塗装をお考えの方に対して アドバイスをおこなっております。


外壁塗装の塗り替えをする際に、古い塗膜を剥がすために剥離剤を使うことがあります。耳馴染みがない方が多いと思いますが、本記事では外壁塗装の剥離剤の役割や使う目的などを解説します。

本文中で、剥離剤のメリットと注意点も解説。DIYで剥離剤を使っても問題ない?それとも避けたほうがいい?と疑問に感じている方にも参考になる内容です。

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外壁塗装に使う剥離剤とは?

剥離剤は、外壁塗装の塗り替え工事をする際、古い塗膜を剥がすために使う液剤です。剥離剤を使って既存の塗膜をやわらかくし、剥がしやすくします。

たとえれば、剥がしにくいシールを除光液で剥がしやすくするようなものです。外壁塗装は簡単に剥がれないので(剥がれたら困ります)、液剤でシールを剥がすように、剥離剤を使ってやわらかくした後に剥がしていきます。

古い塗膜を剥がす理由

外壁塗装では、古い塗膜を剥がしてから新しい塗料を塗るのが正しい方法です。

では、なぜ剥離剤を使って古い塗膜を剥がす理由があるのか、ご存知でしょうか? 古い塗膜の上から新しい塗料を塗ればいいのでは、と考えている方もいらっしゃるかと思うので解説します。

それは、外壁に古い塗膜が残った状態で新しい塗料を塗っても、塗料が密着せずに剥がれてしまうからです。もし古い塗膜を剥がさずに塗り替えをすると、早いと数ヶ月のうちに剥がれてしまうこともあります。

外壁塗装は下地処理が非常に重要です。古い塗膜をしっかり剥がしておくことで、外壁塗装が長持ちします。

優れた職人は下地処理の重要性を知っているので、きちんと古い塗膜を剥がした上で新しい塗料を塗ってくれるでしょう。

反対に、下地処理を怠る塗装業者には要注意です。工事の手間を省くために古い塗膜が残ったまま塗り替えをするのは言語道断。そういう、いい加減な業者には依頼してはいけません。

耐用年数は塗料によって変わりますが、下地処理によっても変動します。下地処理をきっちり行ってくれる業者が施工した外壁塗装ほど長持ちするでしょう。しっかり下地処理を行っても、環境によっては耐用年数より早く劣化することもありますが、できるだけ長持ちさせるのがプロの外壁塗装職人です。

古い塗膜を剥がす4つの方法


剥離剤を使う以外にも、古い塗膜を剥がす方法はあります。

・剥離剤工法
・超音波ケレン工法
・高圧洗浄工法
・サンダーケレン工法

「高圧洗浄工法」や「サンダーケレン工法」は、施工時に騒音がするのが難点です。「サンダーケレン工法」は粉塵が出るのもデメリット。

「剥離剤工法」と「超音波ケレン工法」は騒音が出ないので安心です。「剥離剤工法」は臭いの問題があるので、その点には注意してください。

剥離剤の種類

剥離剤には、以下のように種類が分かれます。

・ジクロロメタン系(塩素系)
・非ジクロロメタン系(環境対応型)
・アルカリ系
・酸系

従来は、「ジクロロメタン系(塩素系)」「アルカリ系」「酸系」が一般的でした。「ジクロロメタン」は有機溶剤の一種で、外壁塗装の剥離剤によく使われていました。しかし、健康と環境への影響を考えて、使用を控える方向に進んでいます。

現在は、「ジクロロメタン」を使わない環境対応型の「非ジクロロメタン系」を使った剥離剤が主流です。人にも環境にもやさしいので、こちらを使う業者が増えています。

剥離剤のタイプ

剥離剤には、使用するタイプが3つに分かれます。

・刷毛塗りタイプ(ハケ塗り)
・浸漬タイプ
・スプレータイプ

「刷毛塗りタイプ」は、刷毛(ハケ)で剥離剤を塗布していくタイプです。

「浸漬タイプ」は、塗装治具を漬けて使用します。水洗いが不要の「浸漬タイプ」もあります。

「スプレータイプ」は、スプレーで剥離剤を噴き付けるタイプです。

剥離剤を使うメリット

剥離剤を使うと化学反応で塗膜がやわらかくなり、剥がしやすくなるのがメリットです。ヤスリなどで塗膜を削る作業は労力がかかりますが、剥離剤を使うことで作業の手間を省略します。浸透させている間は他の作業ができるにも、剥離剤を使うメリットです。

剥離剤は騒音と粉塵が出ないのもメリットのひとつ。上述したように、「高圧洗浄工法」や「サンダーケレン工法」は騒音と粉塵が出るという問題がありますが、「剥離剤工法」はその点は心配ありません。

剥離剤を使用する際の注意点

剥離剤は化学物質の力で塗膜を剥がしていくため、人体に付着しないように注意が必要です。環境対応型の「非ジクロロメタン系」は安全性が高くなっているとはいえ、化学薬品ですので正しく扱わないと健康被害を起こす恐れがあります。

「非ジクロロメタン系」以外の剥離剤を使う際は、特に注意してください。人体に付着しないように、保護手袋や保護眼鏡を使いましょう。

臭いを吸い込むと、めまいや吐き気といった健康被害が起こる可能性があるので、換気にも配慮しなければいけません。

剥離剤は使い方を誤ると外壁の素地を傷めてしまうので、使い方も要注意です。強力な剥離剤だと外壁を傷める恐れがありますし、かといって弱いと古い塗膜が剥がれません。剥離剤の使用には知識がいるので、DIYでの使用はあまりおすすめしません。

塗膜剥がしに剥離剤を使うケース

戸建住宅の場合、「高圧洗浄工法」や手作業で古い塗膜を削っていくケースが多いです。「剥離剤工法」も使用されますが、主にビルなどの大きな建物の外壁塗装を塗り替える際に使われます。

戸建住宅で使用するケースとしては、木材に浸透している塗料を剥がす時に使うといったものです。木材の塗装を塗り替える際に、剥離剤を使って塗膜を剥がしていきます。

「高圧洗浄工法」や手作業では古い塗膜が落ちにくい場合も剥離剤を使うことがあります。戸建住宅で使うケースは多くないですが、塗膜剥がしの選択肢のひとつです。

DIYで古い塗膜を剥がすのは可能?

古い塗膜を剥がすのは簡単ではありません。上述したように、機材や剥離剤を使って剥がす必要があるので、DIYでは難易度が高いといえるでしょう。

もし高圧洗浄機や剥離剤を用意して古い塗膜を剥がしたとしても、下地処理が甘い状態で塗り直しをすると塗装の耐用年数が短くなってしまいます。狭い範囲の塗り替えであればまだしも、外壁全体の古い塗膜を剥がして下地処理をするのはかなりの労力がかかるでしょう。

DIYもうひとつ問題となるのが「足場」です。高所の作業は梯子や脚立では危ないので足場を組む必要がありますが、足場の設置には専門知識が必要になります。DIYで間違った組み方をすると危険です。

どうしてもDIYで外壁塗装の塗り替えをするのであれば、足場を専門の業者に組んでもらいましょう。しかし、そうなると費用がかかりますし、素人とプロでは質が大きく変わるので、外壁塗装の専門業者に任せることをおすすめします。

DIYで剥離剤を使うのは避けたほうがいい?

剥離剤は正しく扱わないと健康被害を起こす恐れがあるので、知識なく使うのはおすすめしません。使うのであれば、人体に付着しないように防護し、換気をして使いましょう。

剥離剤の種類は、安全性を考えると「非ジクロロメタン系(環境対応型)」がよいでしょう。「非ジクロロメタン系」であっても扱いを間違えると健康被害が起こる可能性があるので、扱いには注意が必要です。

剥離剤自体が大型の建物の塗膜剥がしに使われるので、あまり一般の戸建住宅で使うのは少ないといえます。ですので、DIYで無理して剥離剤を使う必要はないでしょう。

剥離剤は臭いがするので、ご近所に迷惑をかけるかもしれません。高圧洗浄機は騒音がするので、DIYで古い塗膜を剥がすのはいろいろと課題があります。内壁の塗り替えであればDIYのハードルが下がりますが、外壁の塗り替えは難しいので、DIYは割けるのが無難といえるでしょう。

外壁塗装の塗り替え時に塗膜の剥がし方を要確認

ここまで解説したように、外壁塗装の塗り替え時には古い塗膜を剥がす必要があります。どの工法を使って旧塗膜を剥がすのかは、外壁塗装業者によるため、事前に確認しておきましょう。

塗膜剥がしには「高圧洗浄工法」や「剥離剤工法」を使うわけですが、それぞれにメリットとデメリットがあるので、一概にどれが一番であるとはいえません。状況によっては「高圧洗浄工法」を使ったほうがいいケースもありますし、部分的に「剥離剤工法」を使うケースもあります。

ちゃんとした外壁塗装業者であれば、下地処理についても説明してくれるでしょう。繰り返しになりますが、下地処理は外壁塗装の寿命に関わる作業です。外壁塗装の塗り替えで失敗しないように、この下地処理の説明はしっかり聞いておきましょう。

おわりに

節約のためにDIYで外壁塗装を塗り替えたとしても、塗膜剥がしを含めた下地処理が甘いと長持ちしないので、あまりおすすめできません。高所の作業には危険が伴うので、安全面も考えると無理してDIYで塗り替えるのはリスクが高いといえるでしょう。

また、古い塗膜を剥がすために剥離剤を使う際は、扱いに注意しないと外壁自体を傷めかねません。健康被害の懸念もあるため、外壁塗装の塗り替えは業者に任せることをおすすめします。

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